モネやルノワール・ゴッホといった19世紀後半のフランス名画が展示されているオルセー美術館
オルセー美術館には、1848年から1914年の西洋美術品が収蔵されています
- 絵画
- 彫刻
- アールヌーヴォーのガラス細工
といった多くのコレクションが展示されています
今回は、オルセー美術館への行き方・チケット購入・入場方法・作品解説・鑑賞方法を徹底的にご紹介します!
アクセス
RER・C線「Gare Musee d'Orsay」駅から徒歩すぐ
メトロ12号線「Solferino」駅から徒歩3分です
新古典主義とロマン派
オルセー美術館のコレクションは元もと、19世紀前半にルイ18世によって造られたルクセンブルク美術館の所蔵品
ルクセンブルク美術館で50年展示された作品は、名品としてルーヴル美術館に所蔵されていきました
当時は、サロンと呼ばれる正式な絵画展で展示された作品が飾られていました
オルセー美術館・地上階には、当時のサロンで展示されていた絵画作品が展示されているので早速見ていきましょう
地上階・展示室1には、19世紀半ばに主流だった新古典主義とロマン派の絵画
新古典主義は啓蒙主義に基づいた絵画で、18世紀末に勃発したフランス革命を支えた
泉 ドミニク・アングル
新古典主義の代表的な作品・アングルの「泉」
描かれているのは妊婦で、森の妖精をイメージしています
新古典主義の特長である理性に訴えかける描写が印象的です
ライオン狩り ウジェーヌ・ドラクロワ
アングルと同時期に活躍していたロマン派・ドラクロワの代表作「ライオン狩り」
アングルの泉と比較すると、絵に躍動感があるのがわかります
ドラクロワの特長はその色使い
豊富な色で描かれており、動物や人間の実際の動きを捉えています
バルビゾン派
人間の感情や自然を意識する絵画作品をさらに進めたのがバルビゾン派
展示室4には、バルビゾン派の画家ジャン・フランソワ・ミレーの代表作が展示されています
落穂拾い ミレー
柔らかい線で描かれているのが特徴的なミレーの代表作「落穂拾い」
3人の女性が描かれ、その後ろには豊かな収穫を運ぶ人々が描かれています
この作品では3人の女性は収穫後の畑に残った小麦を拾っている様子を描いており、富める者と取り残されていく貧しい人々の現実を描いています
晩鐘 ミレー
1日の最後に神に祈りを捧げるシーンを描く「晩鐘」
日々農作業に励む一般農家の様子が描かれています
写実主義
ミレーの作品にみられる現実の描写は、後に写実主義を台頭させます
オルナンの埋葬 ギュスターブ・クールベ
それが展示室20に飾られているクールベ作「オルナンの埋葬」
「天使を書いてほしいなら天使を見せてくれ」と言ったといわれるクールベ
クールベは実際に自分の目に見えたもの、つまり現実のものしか描かなかない写実主義を貫きました
クールベは、新古典主義までに見られるそれまでの理想を描く美術の伝統を転換させました
印象派
写実主義から派生し自然の美を捉えようとしたのがモネに代表される印象派
オランジェリー美術館に所蔵されているモネの代表作作「印象日の出」が印象派の名の由来です
オランピア エドゥアール・マネ
ベッドに横たわる女性を描いたマネの代表作「オランピア」
サロンと呼ばれる絵画展で評価されることが有名画家になるための絵画界の常識であった19世紀、高級娼婦を描いた絵画を出展することはタブーとされていました
サロンでは理想像として神話の女神を描くことが暗黙の決まりの中、マネは現実に存在する本物の女性を描くことで政府が主導するサロンへの抵抗を見せます
※5階・展示室29
すみれの花束を持つベルト・モリゾ エドゥアール・マネ
マネ作「すみれの花束を持つベルト・モリゾ」の特徴は、その光と影の描写
左側に光を当てて、右側に影を持ってくるコントラストが当時の作品としては大変特徴的です
印象派の描くモチーフの先駆けとなったマネの作品です
※5階・展示室32
ゆりかご ベルト・モリゾ
マネと同じく画家のベルト・モリゾの作品「ゆりかご」がマネと同じ展示室にあります
ゆりかごは、ベルト・モリゾの妹が寝ている赤ちゃんの様子を描いた作品
母親の左手のラインが赤ちゃんの目線と同じにすることにより、親子の関係を深く表現しています
バレエ教室の様子 エドガー・ドガ
この展示室にはもう一人の印象派の画家エドガー・ドガの作品「バレエ教室の様子」
バレエ好きのドガは、絵の主題にバレリーナをの姿を多用します
バレエ教室の様子では、練習で疲れたバレリーナの素の姿を描いています
ドガは絵画だけでなくバレリーナの銅像も制作しており、展示室31でバレリーナの銅像を見ることができます
ドガは14歳の小さなバレリーナをありのままに像に表現することにより、リアリティーを追求していきます
日傘をさす女 クロード・モネ
クロード・モネの代表作「日傘をさす女」
日傘のさす女性を右からと左からの2方向から描き、作品が対になっています
モネはありのままに見える姿を描く写実主義から発展し、自分がどう見えるかどんな印象をもって物事を見ているかに重点を置きます
そんな自分に見える印象を大事にしたモネにとって、姿にあたる光の具合はとても重要でした
2枚の対になる絵を見ると、空の色と光の当たるスカートの色合いが全く異なって表現されています
モネは光の当たった瞬間を描くことに重点を置いていたこともあり、2枚の対になる絵の女性の顔ははっきりと描かれていません
※5階・展示室34
町の踊りと田舎の踊り ルノワール
一方で印象派のもう一人の画家・ルノワールは、光と同じく人にも焦点を当てます
ルノワールの絵には、たくさんの人々が描かれ人の生き生きとした姿が特徴的です
対になっている「町の踊りと田舎の踊り」は、都会の雰囲気と田舎の素朴さを対比させるように描き、それぞれの人物の表情を豊かに描いています
※5階・展示室34
ルーアン大聖堂 クロード・モネ
クロード・モネの連作「ルーアン大聖堂」
ルーアン大聖堂の刻一刻と変わるその姿を描くために、モネは大聖堂の前に家を借りて30枚の大聖堂の絵を仕上げました
展示されている4枚のルーアン大聖堂の絵は、全く違う雰囲気で描かれています
自分にとってどのように見えるかどうかに重きを置いたモネは、朝から夕方までの目に映るルーアン大聖堂の光を表現していきます
※5階・展示室36
ポスト印象派
実際に見えるものに重きを置く「写実主義」と自分にとって見える者の印象を大事にした「印象派」
それらをさらに発展させたのがポスト印象派です
「りんごとオレンジ」 ポール・セザンヌ
ポスト印象派の巨匠・セザンヌの代表作「りんごとオレンジ」
生涯にわたって動植物をたくさん描いたセザンヌの一作です
今にも落ちそうなりんごとオレンジは、それまでの絵画の常識を変える二次元で描かれています
セザンヌは一般的にどう見えるかではなく、自分にとってどう見えるかさまざまな場所から見たものを一つの絵に描いていきました
このセザンヌの技法は、のちのピカソに影響を与えます
※5階・展示室36
カード遊びをする男たち ポール・セザンヌ
もう一つのセザンヌの作品「カード遊びをする男たち」
二人の男たちがテーブルでカードゲームをしている様子を描いています
セザンヌは、この作品でも西洋絵画の常識を覆します
それまでの西洋絵画では、レオナルド・ダ・ヴィンチが発明した指の腹を使って輪郭線をぼやかす「スフマート」という技法が用いられてきました
しかし「カード遊びをする男たち」の顔には輪郭線が描かれており、当時のヨーロッパ絵画界に衝撃を与えました
セザンヌが輪郭線を描くスタイルを取り入れた背景には、実は日本の浮世絵がありました
日本の浮世絵に特徴的な輪郭を描く手法は、のちのゴッホの作品でも描かれていくことになります
※5階・展示室36
アルルの部屋 フィンセント・ファン・ゴッホ
ポスト印象派を代表する画家・ゴッホ作「アルルの部屋」
日本の浮世絵に大きな影響を受けたゴッホは、日本人らしい質素な部屋を描きます
そして境界の描き方ははっきりと線を用いており、以前の西洋絵画では見られない二次元の絵を描いています
まさに日本の浮世絵の特長をふんだんに取り込んだ代表作です
※3階・展示室71
自画像 フィンセント・ファン・ゴッホ
43枚が現存するというゴッホの自画像の一つ
写真が撮影されるようになってきた時代、ゴッホは自分の見る自分らしい姿を表現するため自画像の制作にこだわり続けます
二次元の描写にこだわるゴッホは、絵の具をキャンバスに描くわけでなく載せるように描き二次元の表現を強調していることがわかります
※3階・展示室72
アレアレア ポール・ゴーギャン
もう一人のポスト印象派の画家・ゴーギャンの作品「アレアレア」
絵画制作の理想を求め移り住んだタヒチで描いた作品です
ヨーロッパ資本主義を嫌っていたゴーギャンは、タヒチで現地の人々の素朴な暮らしに興味を持ちます
作品はゴッホなどの作品のように、二次元的で平面に見えます
全体像の調和を目指すわけでなく、それぞれの人・物が独立して描かれているのがアレアレアの特徴です
※3階・展示室70
彫刻作品 オルセー美術館所蔵
オルセー美術館には絵画だけでなく、有名な彫刻作品も鑑賞することができます
19世紀フランスを代表する彫刻家・ロダンの代表作「地獄の門」
人間の表情がリアルに表現されているこの作品
ロダンは、人間の極限と肉体表現をリアルに表現することを重要視していました
※3階
アールヌーヴォー ガラス作品
オルセー美術館で見逃せないのが、アールヌーヴォーのガラス作品
水が流れるような曲線と自然を主題として用いているのが特徴
※3階・展示室66
情報 オルセー美術館
住所
1 Rue de la Legion d'Honneur 75007 Paris
TEL
(01)40494814
駐車場
なし
営業時間
9:30~18:00(木:~21:45)
定休日
月曜
休業日
5/1、12/25
年齢制限
なし
公式サイト
所要時間目安
2時間程度
入場料
大人:14ユーロ
18~25歳:11ユーロ
18歳:未満無料
※特別展:別料金
クレジットカード
Visa, MasterCard, American Express
入場時の注意事項
服装:カジュアル
カメラ:持込・撮影不可
オーディオガイド:5ユーロ(英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、中国語、日本語)
事前予約
個人:望ましい
団体:望ましい